次に会場の男性から、「志村正彦 表現の特徴と世界観」を発表していただいた前嶋愛子さんに、一番好きな曲は何ですかというご質問がありました。
前嶋さんからは次のようなお答えがありました。
どれも好きな曲ばかりですが、一曲といえば、「赤黄色の金木犀」です。
日々人の生き死に関わる仕事をしています。志村君は命のはかなさとということをよくわかっていた人ではないかと感じます。だから発表でも申し上げましたが、なくなってしまったものへの気持ちを歌詞の中で語るのではないかと思っています。この曲ではそれを金木犀の香りに託すんですよね。嗅覚は人の五感の中でとても強いもので、感覚として残るといわれています。金木犀は季節も限られますし、たくさんあるものでもないと思いますが、その一瞬を香りに託して歌っている。はかないものへの気持ちを知っている人だなあと、心をいつも揺り動かされます。
私にとっては命のはかなさを感じることが日常であり、日常にしなければやっていけないというところがありますが、時々ふと感情的になったりすることもあるので、そういう時は必ず志村君の曲を聴きたくなります。
次にお話ししてくださったのは、大阪からいらっしゃった女性の方でした。
フジファブリックはメジャーデビューの前の2003年くらいから聞いています。
先日、あるライブであるバンドのボーカルの方がソロで「若者のすべて」をカヴァーしていました。 ライブの後そのボーカルの方は、フジファブリックをあまり知らなくて、この一曲くらいしか知らないと話していたのを耳にしました。
今日の展示で、志村君が歌詞を書き直して完成させたのを見ましたが、伝わっているんだなあと思いました。これからも多くの歌い手の方に志村君の歌を歌っていってほしいと、今日ここに来て強く思いました。
志村さんの歌が歌い継がれていくことはご来場のみなさんの願いでもあるようで、大きな拍手が起こりました。
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